月刊『秘伝』 斎藤千和

ふたばimgで2010年暮れから2011年あたりに流行ってたっぽい。
以下、オレポニカの月刊秘伝カテゴリからぶっこ抜き
http://oreponica.jugem.jp/?cid=14

千和の目は自然とミルキィホームズ勢の四人に惹きつけられた。

 一人は明らかに経験を積んだ猛者だった。
 一人は明らかに警戒すべき臭いだった。
 一人は明らかにスーパーヘビー級だった。
 だが、千和は最後の一人に目が釘付けとなる。この顔付き。まるで若い頃の…。

「沢城を思い出すだろう? うちの新人、佐々木未来だよ」

 声をかけてきたのは、元ブロッコリ社長にして、現ブシロード社長───木谷高明だった。
あの運命の公開オーディションで沢城みゆきを見出した男だ。

「木谷さん、彼女と闘らせてください、なんなら今でもいい」

「五年早い。君たちのルールではまだまだ素人だ」

「五年もしたら、木谷さんの会社、また無くなってますよ。それに、彼女、戦歴十年って顔だし、百人は殺してる目をしてるじゃないですか」

「確かに…他のリングの経験はある。オーディションで四千人は屠っている。だが佐々木はまだ十代なんだよ」

 それを聞いて千和は思わずため息をつく───そんなところまで沢城似か、と。


(月刊『秘伝』 連載「猛禽と鳳雛(ひなどり) -斎藤千和外伝II-」より)

http://img.2chan.net/b/res/108240757.htm

───千和さんは新人の頃から色々と目立ってましたが。

単なる世間知らずの馬鹿だった(苦笑)
デ・ジ・キャラットの時かな、リハ後に林原(めぐみ)さんからスパーリングしようって初めて言われて。
こっちも若手で勝手が分からないから、「何をやってもいいんですか?」って聞いたら「何をやってもいいぞ」って言うんだよ。
それで金的蹴って目を突いたら、みんな怒った怒った(笑)ワーッと囲まれてさ、もうボッコボコ(笑)

───いきなり金的ですか(笑)

なにせ相手は天下の林原さんだからね、それくらいやっても大丈夫だろうと思ったんだけど…実際は全然大丈夫じゃなかった(笑)


(月刊『秘伝』 斎藤千和インタビューより)

───fripSideのナンジョルノこと南條愛乃さんがオリコン声優になりましたね

うん…(重い溜息)、無関係の私が言うのもなんだが。
思い上がっていたわけじゃないと思う。
なにしろ本番ありの世界から這い上がってきた猛者だよ。
ちょっとくらいCDが売れたって油断できるはずがない。

───犯人はミルキィホームズシャーロック・シェリンフォードですか?

(膝を叩いて)その誤解だけは正したい。
確かに南條は専門外のダンスでは劣っていたが、歌ではけして負けていなかった。
事件は会議室で起きた。問題の現場は、響のG4特別捜査会議だ。
あそこには田村(ゆかり)さんと沢城(みゆき)と新谷(良子)がいた…。
私から言えるのはそれだけだ。そもそも他に説明の必要があるか?
会議が終わると南條は真っ白になって出てきたそうだ。生きてはいたが目から生気が失われている、そんな状態だったという。
折り魂。こころを…魂を折られたんだ。


(月刊『秘伝』 斎藤千和インタビューより)

命乞いをされたら、どんな相手にも3秒だけは猶予を与えている。
逃げるも良し、覚悟を決めるも良しだ。

───なぜ3秒なのですか?

いやー…私は1分くらい待っても良いんだが、よく一緒にいる広橋が4以上は数えられないんだ(笑)

───まさに野獣といったところですね。

植田なんて少し前まで数の概念を知らなかったからな。


(月刊『秘伝』 斎藤千和インタビューより)

───スフィアにはなにか感じていたか。

よく鍛えていると思う。いやこれはサービストークじゃないよ(笑)
高垣が同じ技ばかり一つ覚えのように繰り出しているのを見て一時は危惧したが、今はそんなことないな。
みんないい声優だと思っているよ。

───率直に、誰が一番有望だと?

そんな、ハハハ、全員立たせて並ばせたら見て一発でわかるじゃないか、ハハハ。


(月刊『秘伝』増刊 スフィアへの伝言 斎藤千和インタビューより)

───事務所でセメントが一番強かったのは誰ですか?

田村(ゆかり)さんはやはり強かったよ。どうしてかというと、稽古したもん。
あの人の稽古は凄いよ。私らが怪我したら、〝お前、オ〇ンコのやりすぎだぞ!〟。
風邪をひいても〝お前、オ〇ンコのやりすぎだぞ!〟。あの人のセリフはそれしかないんだから。

───そんなことはないと思いますけど(笑)

いやホントだよ。だから、私らは怪我するわけにも風邪ひくわけにもいかないんだよ。
田村さんはね、下の人間にもやらせるけど、自分も稽古をちゃんとやる。
一番凄いよ。こんなに稽古が好きな声優はいなかったな。


(月刊『秘伝』 斎藤千和インタビューより)

───読者から質問が来ています。『声優グランプリ』には出場しないのかと


よく勘違いされるが『声優グランプリ』は最強の声優を決める大会じゃないし、出たいと言って出られるものでもない。
こういうのは所属道場・団体・スポンサーによって出場枠があるんだよ。
私のような裏で闘うタイプの古い声優にとっては文字通り土俵が違うね。
(現場に置いてあった資料をめくる)今月のトップが堀江(由衣)さんだろ。表に出る声優の代表格だ。
他には…、スフィア、LISP、碧ちゃん(悠木碧)、うちの若いの(編集部注:竹達彩奈と思われる)か。
ほら、各道場が売り出したい若手ばかりだ。


───千和さんも新人のころに一度出場しています


ああ…、あったあった、思い出したよ。たしか、あの時は森永(理科)と植田(佳奈)と中原(麻衣)がいて…


*編集部よりお詫び:インタビューの途中ですが、録音用ICレコーダーが破損したためやむを得ずここで終了します。



(月刊『秘伝』 斎藤千和インタビューより)

http://img.2chan.net/b/res/109448447.htm

───体調管理などはどのように?

普段からの発声と演技の鍛錬、走り込み、それから組み手。
睡眠や食事にも勿論気を遣っている。
ビタミンや鉄分、それにタンパク質のバランスなんかを…サラダと魚中心かな。
好き嫌いは無いね(笑)
まぁ…スポーツ選手がやっているようなものは一通りだよ。

───よくある野菜のミックスジュースなども?

あー、いや…ミックスジュースだけは無いかな…。

───ミックスジュースは無いのですか。

ミックスジュースは無いね…。


(月刊『秘伝』 斎藤千和インタビューより)

───『魔法少女まどかマギカ』のオーディオコメンタリーで虚淵玄さんとお会いしたそうですね。

(ため息をつき)一目見て、人を苦しめ殺すために生まれてきた男だとわかったよ。
なんでも、この悪魔が関わると、ありとあらゆる人間が非業の最期を遂げるそうだ。
とある日本人の鉄砲玉は足を洗った直後に消されたと聞いている…。
「初次见面。久仰久仰。请多关照」
顔を合わせるなり奴が口を開いた。それは香港流の挨拶で、地獄の業火に焼かれろとかそんな意味だ。
素手では殺しきれないと直感し、私は懐から使い方を学んだばかりのAT‐4を抜いた。
もう何も怖くない。
「很高兴认识你」
奴は両手でイタリア製の拳銃を抜き、真っ白な鳩を飛ばした。
だが、その動きはまるでスローモーションのようによく見えた。
私は奴の力を凌駕したんだ。


(月刊『秘伝』 斎藤千和インタビューより)

───沢城みゆき氏との勝負は、終始互いに噛み合わず、結局ノーコンテスト(収録中止)という結果に終わりましたが。

控室に帰ったら、田村(ゆかり)さんに物凄く怒られた。
「なぜ、お前は相手を倒せない!?なぜ、お前は行けないんだ!?お前はチキンだ!こんな弱い奴とは、私はもう一緒にやらない!」って。
田村さんにあれこれ言われて凄く落ち込んでる時に、堀江さんがスッと来て
「お前は何で最後まで収録ができないんだ!?」って。「ちゃんとアフレコを成立させられなかったら、そんなのはプロじゃない。」と言われて…。
田村さんと堀江さんに全然違うことを言われてそれでまたガクーッとなって。

───舞台裏でそんなやりとりがあったとは知りませんでした。

その時に一番影響受けたのが「お前が弱いからやっつけられなかったんだ」という田村さんの言葉でね。
堀江さんの「プロとして収録を成立させる」っていうことは後々わかるんだけど、その時はもう(自分が)凝り固まってたから、
田村さんに「もう、お前なんか面倒みない。こんな弱い奴は私のパートナーにいらない。」って言われたのがショックでね。

───そこから声優という生業に対して、自分の中で意識が変わったと。

その1年ぐらい前に能登(麻美子)にボロクソに負けて、「強くなりたい!」って本気で思ったんだけど、ホントに強くなるという意味がわかってなかったんだよね。
そんな中で中原(麻衣)が歌手業を始めたりして、「俺はこっち(声優)でいいんだ!」みたいな変な意地というか、要らないプライドがあってね。
でも、(沢城戦で)ヘシ折られるわけよ。能登麻美子にヘシ折られても…か細く何とか残したプライドもね。

憧れていた田村ゆかりと出会えて、やっと練習を見てもらえるからキツイことも毎日楽しかったのに、
そんなことを言われて、すべてがグジャグジャに折れちゃったんだよね。


(月刊『秘伝』 斎藤千和インタビューより)

少し長い話になる。中国に武者修行に行ってた頃の事だ。
路上で声台(路上収録の一種。違法)をやって路銀を稼いでいたんだよ。
その街の声自慢と金を賭けたりね。百戦百勝で少し慢心もしていたな…。
ある日、声台中に警察に囲まれた。向こうの警察は違うね、もう迷うことなく武器を抜くんだ。
それでまぁ…うん、普通に倒したんだけども。
別に長くなかったなこの話(笑)

───オチは特に無いんですね。

オチまで言っちゃったらコレ(両手に手錠をかけられたジェスチャア)になるもの(笑)
ああ、その前にキミの口を封じればいいのか。ハハハハ(笑)

───(苦笑)


(月刊『秘伝』 斎藤千和インタビューより)

「結論から言おう、今日の試合に沢城は出ない」

それを聞いて、数千人の大男達が一斉に殺気立つ。
この全員が沢城みゆきのファン。たとえ警察を呼んだところでもはや対処する術はない。
慌てたスタッフたちが千和をその場から連れだそうとするが、小さな身体はびくともしなかった。

「今、沢城は別の会場で『もう一つのシアター!』という舞台に出ている。試合を捨てるほどの魅力がその芝居にはあるらしい」
 
数千の殺意を前に千和はからりと笑う。

「その芝居の原作と脚本(ホン)を書いたのは、有川浩。『図書館戦争』の原作者だ」
 
千和の言葉に、一転、男達は困惑し、顔を見合わせた。

 ───確かに沢城はあの『図書館戦争』から生還したのだが…。

「言い直そう。有川浩は『フリーター、家を買う。』の原作者だ」
 
その瞬間、現場の空気が文字通り変わった。
何人かは胃を押さえ血反吐を吐いた。中には白目を向いて倒れ、痙攣している者さえいる。


(月刊『秘伝』 連載「続・猛禽の咆吼(こえ) -斎藤千和外伝-」より)

───LISPとの因縁についてお願いします

元々、闘るつもりはなかったんだよ。
でも阿澄(佳奈)がうちの若いの(編集部注:竹達彩奈と思われる)を勧誘してるのを見かけてね。
命(タマ)を取るなんて言われたらそりゃ跳びかかるしかないだろう。

───LISPは接近戦の達人ですが

こっちはここが(頭を指さす)カーっと来てるから、なにも考えずに超至近距離の闘いを挑んだ。
サブミッションでマイクスタンドを締め上げてやると、突然、阿澄が「ギブ、ギブ」と言い出すんだ…。
井口裕香をして「猛虎胆(虎のように豪胆の意。加藤清正のあだ名)」と言わしめたあの阿澄が、だぞ?
仕方なく関節から手を離した瞬間、背後に圧倒的な闘気の高まりを感じた。
振り返ると儀武ゆう子が仁王立ちしていた…。『たまゆら』のラステス中だったんだ。

───謝って帰ったんですか?

いや、よく考えると私もキャストの一人だった(笑)


(月刊『秘伝』 斎藤千和インタビューより)

───(腕を指して)もの凄い傷ですね。

水樹(奈々)のチームにリンチされた時のものだね。

───声優組織でもスマイルギャングは1、2を争う勢力と聞きます。

チェーンで縛られてバイクで引きずられたりしたんだが、タフネスには自信があったからとにかく午後7時になるまで耐えたんだよ。

───午後7時というのは?

ああ、アイツ7時になると阪神戦を観に家帰るんだ(笑)あとは副ヘッドの福圓(美里)の金的を潰して逃げたよ。


(月刊『秘伝』 斎藤千和インタビューより)

───沢城みゆき氏を再び最も脅威な声優に挙げているが。

甘く見てたんだ(笑) 文字通り甘かったわけだが。
つい先週ネットラジオを聞いていて、それが甘いと再認識させられたな。
響の「12の夜」の最終回でコーチの村松氏が来てたんだが、「追い込まれずに闘(や)れることはない」と言うんだよ。
「この数年が最期のピークだ」とか、「時代が私に向いている」なんて言うんだよ。
あの沢城が、だぞ? それで、22分くらいかな。
沢城みゆきは、戦士だ。実に勇敢な戦士だ」と村松氏の口から出るんだよ。
スフィアやミルキィ(ホームズ)とな、真っ向から闘る気なんだ、あれは。


(月刊『秘伝』増刊 スフィアへの伝言 斎藤千和インタビューより)

───そろそろ三十歳になります。

うん…。肉体の衰えに恐怖を感じることもある。
でも声優に年齢は関係ないことは先輩方が教えてくれるんだ。
うちの田村さんなんて国家元首のくせにSPなしで焼肉に行くからね(笑)

───堀江由衣さんが襲われたとき現場にいたそうですが。

びっくりしたよ。普段の堀江さんだったら5人相手でも5秒はかからない。
あの日の彼女は明らかに動きが鈍くて、衰えたようにも見えた…。
反射的に喉が鳴ったが白石(涼子)に止められた。「火薬はいらない」ってね。

───負けたんですか?

わざと一発食らったんだ。演技だったんだよ。


(月刊『秘伝』 斎藤千和インタビューより)

ある夜…庭にいたティッシュ(愛犬の名前)がスゴイ勢いで吠え出してそれがピタッと止んだんだ。
気になって見に行ったら沢城みゆきが立っていて、その足下にティッシュが倒れていた。
一目で、ああこれは心臓が止まってるなと判った。
何せあの沢城と立ち会ったんだから。

───ティッシュ君は大丈夫だったんですか?

すぐに応急措置をしたから命に別状は無かった。
ただ、ゴホゴホッと数回咳き込んだ後ガバッと跳ね起きて「負けたんスか、俺」と聞かれてね…切なかったよ。


(月刊『秘伝』 斎藤千和インタビューより)

声に年齢なしというが、同い年の声優が互いを意識することもある。
名塚(佳織)の結婚式でのことだよ。
式の途中で小清水(亜美)と三瓶(由布子)が暴れ始めてね。「声優なら女と結婚しろ」なんて難癖つけるんだ。
「女どうしで結婚できるか!」と名塚に加勢したのは、沢城みゆきだった。

───夢の同世代タッグマッチですね

私の見たところ力量的に互角だった…が、この日の小清水と三瓶は強かった。
なにを言われても「そんなことない」「ここで決めなきゃ女がすたる」の一点張り。
猛攻を前に、名塚と沢城は手も肩も出なかった。
ふたりはプリキュアだったんだ。
式場は破壊されもうめちゃくちゃ。日笠陽子は真っ青になり、高垣彩陽は真っ黒だった。

───そこに現れたのが榎本温子さんと樹元オリエさんだったと?

あのふたり、腕を組んで会場に入ってきたんだ。その上、乳飲み子を抱えていた。
それを見て、ああ女どうしでも結婚できるんだってことになって、みんなでケーキ喰って帰った。


(月刊『秘伝』 斎藤千和インタビューより)